本殿
本殿は、同規模、同形式の4棟の一間社春日造社殿(いっけんしゃかすがづくり)であり、各社殿間は板塀で連結されている。
屋根は檜皮葺で、棟に置千木と3本の堅魚木をのせる。正面にかかる破風は、春日大社同様、直接庇下に突き抜けて庇の垂木を受ける古い形式である。
建築年代については、擬宝珠に文政5年(1822)の銘があり、向拝角柱の面取が小さいなどの様式から見ても、この頃に再建されたか、かなり大規模な改修を受けたと考えられる。
京都市指定有形文化財
摂社
若宮社
本殿の第3殿と第4殿の御子神である水徳の神、天押雲根命(あめのおしくもねのみこと)を祀る。平成25年に修理が行われ、古い材料がよく残ることがわかり、元禄14年(1701)まで遡ることが明らかになった。本殿に比べて一回り小さく、部材の形から、本殿よりも時代が遡る。部材の取り替えが一部みられるが、境内の中で最も古く、春日大社の形式に倣ったことを伝える重要な建物である。
京都市指定有形文化財
樫本神社
創建年代は詳らかではないが、社伝によれば、難波の国に都を作られた仁徳天皇が崩御された後、争いが起こり、それに巻き込まれた一部の人たちが、天皇の御霊を奉じ難を逃れて、この地に着き、分霊を祀ったのが創まりと言われている。本殿は一社流春日造柿葺きで、平成25年(2013)秋に行われた第六十二回伊勢神宮式年遷宮古殿舎撤却材の無償譲与を受けて、改築、同29年3月竣工す。大原野春日町一帯の鎮守の社で「仁徳さん」と称し、広く崇められ、親しまれている。
末社
樅の神木跡
平成30年9月4日に通過した大型台風21号によって折れた神木の樅の木である。樹齢は約500年であった。根元の中部が朽ちて空洞になっていたため折れてしまった。歴史ある神木を折れたままにしておくのは忍びなかったため、現在では入り口と屋根をつけて中に入ることができるようにされている。500年という時間の流れを感じていただきたい。